2000年以上の時を超えた優れた意匠や技術はもちろんのこと、そこに描かれたギリシャの神々は、グレコローマンコインの魅力に欠かせない大切な要素です。直径が2~3センチに満たない円形の中に、官能的で品格のある神々の姿が優美に浮き出し、当時の文化、思想、様式を今に伝えてくれます。
ギリシャ文化はローマによってキリスト教の思想とともに伝えられ、まさにヨーロッパ文化の原点となりました。さらにその源泉となる世界観として、当時の民衆が広く共有したのがギリシャ神話といえるでしょう。
ご存知の通り、コインのみではなく、ルネッサンス以降、多くの美術にギリシャ神話がモチーフとして登場します。寓意に富む多くの物語では神々が人間的に描かれ、人間が努力の末に神として迎えられる場面もしばしば見受けられます。
英雄の物語も多いのですが、数々の苦難を乗り越えた人並みはずれた人物を英雄と呼ぶのだそうです。ギリシャ神話の神々は人間の営みと大変近いところにあるのが特徴で、それこそが最大の魅力といっていいでしょう。
東方の土着の伝承・神話が影響したものが多く、古代世界におけるギリシャ文化の広がりを感じさせます。実際には分厚い辞典ほどにもなる量が伝えられ、内容も複雑多岐に広がっていますが、グレコローマンコインの鑑賞の一助としていただけるような、主だったものを紹介しましょう。
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