『ローマの神々は、決して近寄りがたいものではなく、悪意のある物でも無かった。彼らは控えめで親しみ深く、ひたすら守護神としての役目に徹している。』
フランスの歴史家:アルベール・グルニエの言葉である。
ローマ時代には、30万以上の神々が居たと言われ、正によろず【万】の神様たちです。その中でもやはりこの時代も健康・安全が一番で、数多くの神様が有るが、今回は代表的な8人の神様をご紹介いたします。
それぞれの神は、帝国政時代の皇帝コインの裏面に数多く採用され登場しています。
1) アスクレーピオス
ギリシャ神話にも登場する名医。 優れた医術の技で死者すら蘇らせ、後に神の座についたとされ、医神として現在も医学の象徴的存在となっている。
医術・治癒の神で、杖にヘビの巻きついたモチーフは「アスクレーピオスの杖」(蛇杖)と呼ばれ、医の象徴として世界的に用いられている。登場するコインは、コモドウス帝、カラカラ帝コイン等。
2) アンナ・ペレン
ローマの女神,ニンフ。カルタゴの女王ディードの姉妹。彼女の祭りが3月15日に行われ、健康、長寿、代謝、充実の神として奉られている。
ローマ共和政時代、BC82~81にデナリウス銀貨が発行されている。
3) ディアーナ【ダイアナ】
ローマ神話に登場する女神で、ギリシャ神話ではアルテミスに相当する。
樹木、自然と多産、出産の女神で、常に付きものとして三日月、松明、弓矢、猟犬、鹿が常に共に描かれている。
ローマコインにはアウグストゥス・アントニウス・ピウス帝のコインに描かれています。
4) フェーリーキタース
ローマ神話の女神で『幸運』を擬人化した神で、彼女はローマの宗教上重要な役割をしていた。
繁栄と富のシンボルでもあり、ローマ皇帝が数多く自身のコインの裏面に刻んだ。
トラヤヌス帝、マルクス・アウレリウス帝、ヴァレリアン帝、マルクス・アウレリウス・マリウス、ゴルディアンⅢ世帝、ピリップス・アラブス帝等のコインに刻まれています。
5) フォルトゥーナ
運命の車輪を司り、人々の運命を決める、英語の『Fortune』の語源とされ、ギリシャ神話ではテュケーと呼ばれている。
不安定な球体に乗り、羽根の生えた靴を履き、幸運が満ちる事がない事を象徴する底の抜けた壺を持っている。
ヴェスパシアヌス帝、ハドリアヌス帝、アントニウス・ピウス帝、セプティミウス・セルヴィウス帝等のコインに刻まれています。
6) ゲニウス (ジーニアス)
ゲニウスは古代ローマ人の信仰では擬人化された精霊を指し、概して守護霊、善意の霊としている。
一般的には母なるユーノー神と同一視され、結婚・出生及び生まれた人間の性格と生命を司る神とされている。
ゲニウスの姿は決まりはなく、力と統一を象徴する形で、カメオ・彫像・記念碑・建築物・壺等色々な物に描かれた。
コインでは神と共に、砲塔を持った姿, パテラ, 豊穣の角等が描かれ、アウグストゥス帝をはじめとしてトラヤヌス帝、マルクス・アウレリウス帝、ディオクレティアン帝、マキシミアヌス帝、コンスタンティウス帝、ガレリウス帝、コンスタンティヌスⅠ世のコインと、ローマ帝国を通じて常にコインに刻まれた神。
7) サルース
ギリシャ神話ではヒュギエイア(Hygieia)ローマ神話ではサルース(Salus)で、健康と安全・繁栄の女神です。
医術の祖アポローンの子である医神アスクレーピオスの娘で、古くはアスクレーピオス信仰において父神の脇侍として信仰された。
父神と同様に一匹の蛇を従えた若い女性として絵画に表されることが多く、薬か水を入れた壺(または杯)を携えていることが多い。
この蛇と杯をモチーフにした「ヒュギエイアの杯」が薬学のシンボルに用いられている。
女性の健康を守る神、特にいわゆる婦人病に関しては大きな権能を持つとされた。
ローマコインに登場するのは以下の皇帝たちです。
ハドリアヌス帝、セプテミウス・セウェルス帝、アレキサンダー・セウェルス帝、マクシミウスⅠ世帝、ゴルディアヌスⅢ世帝、ウァレリアヌス1世帝等。
8) セークーリタース (Securitas)
「平静、安全」を擬人化した女神で、現在のセキュリティ(Security)の語源でもある神様です。
頭に手を乗せた図柄が特徴です。
コインには、カラカラ帝、オットー帝、ティトゥス帝、ゴルディアヌスⅢ世帝、フィリップス・アラブス帝、ホスティリアヌス等のコインが有ります。
ローマコインの神々シリーズ
・健康、安全の神々(本ページ)
コインペンダント専門店 『World Coin Gallery』
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