こんにちは。
まもなく6月は終わりですが、梅雨空の今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日はコインに関する新著をご紹介させていただきます。
来月17日、古代ギリシャ・ローマコインに関する新書籍が発刊されることとなりました。
著者の方は普段からお世話になっているお客様で、古代のギリシャ~ローマ~オリエントで発行された豊富なコインを紹介しながら、当時の文化や歴史、神話を巡る内容です。
『アンティークコインマニアックス コインで辿る古代オリエント史』
著者:Shelk
出版社:エムディエヌコーポレーション
発売日:2019年7月17日(水)
価格:¥1,300 (+税)
※画像をクリックするとAmazonの詳細ページにリンクします。
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紀元前の小アジアからギリシャ、エジプト、ローマなどで発行された多種多様なコインの画像と共に、イラストを交えながら、その図像に込められた意味や背景が紹介されています。当時の地中海世界を旅しながらコインを紹介する形式となっており、実際にコインが使われていた古代ギリシャ・ローマ世界を俯瞰的に感じられます。
古代コインには神話の神々が表現されていますが、それらがなぜアポロ神やアテナ神などと断定されているのか、その象徴となるモティーフや、またコインに刻まれている銘文も解説されており、古代の神話や文字を学ぶ方にとっても一助になることでしょう。
コインを通して古代ギリシャ・ローマの歴史や文化、神話、伝説、文字も学べ、考古学的な視点も盛り込まれています。
著者の方は、小中高生をはじめとする若い人たちが、コインを通じて古代ギリシャ・ローマの文化や歴史に興味を持つきっかけになって欲しいという思いを込めて書かれたそうです。
そのため価格を低く抑えつつも、掲載画像や解説内容は充実しており、小中高生だけでなくコインを収集している方も満足できる一冊になっています。
作成に当ってはコインを原寸大で掲載し、古代コインの彫刻のような立体感や、オリジナルの色を極力再現できるようこだわったため、完成まで大変苦労されたそうです。本著の約200ページの中に、当店が納めさせていただいたコインも掲載されていますが、それらを上手く撮影するのも技術が必要だったようです。
コインの写真撮影は多くの方が苦労されているようで、撮影してみると肉眼で実際に見た雰囲気と微妙に異なることもあります。当店のホームページにもコインの画像を掲載しておりますが、接写撮影に慣れているカメラマンであっても難しい場合があります。
この本では色調やサイズなど、なるべく忠実に再現し、読む人が実物のコインをイメージしやすいような工夫がなされています。
欧米ではギリシャ・ローマコインに関する著作は数多くありますが、日本ではコインに関する著作そのものが少ないのが現状です。その中で、モティーフや銘文の解説が図像つきで分かりやすく、なおかつ詳しく網羅されている本著はとても貴重な一冊といえるでしょう。図像や解説も美しく明確にまとめられているので、オークションカタログのように各ページを眺めているだけで楽しい本です。
この本を通じて、若い世代の方々へコインの魅力を発信し、新しい世代へと裾野が広がっていけば幸いです。日本でより一層、古代ギリシャ・ローマ文化への関心が高まり、古代コインという文化遺産の価値が再認識されると嬉しく思います。
また、この本をきっかけに将来の研究者を志す方が一人でもいれば、とても意義のある一冊になると思います。
古代ギリシャ・ローマの歴史や文化、神話に興味がある方は当時の世界に思いを巡らせ、コインに興味がある方はデザインの豊富さや新しい知識を得ることができるでしょう。
小中高生から大人まで楽しめる一冊ですので、この初夏の読書にオススメの新著です。
・目次
・コインで学ぶ古代ローマ史
人物の相関図やそれぞれのエピソードも充実しており、コインを通して古代ギリシャ・ローマの歴史的流れが分かります。
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