今週から「貨幣としての金」について連載していきたいと思います。
なぜ、金属が貨幣として用いられるようになったのか…金がどのように貨幣として有用だったのかなどを説明していきたいと考えています。
どうぞ、ご一読くださいませ!
第一回は「貨幣の誕生、貨幣商品とは」というテーマで書きたいと思います。
貨幣の誕生、貨幣商品とは
原始人の生活はまさに自給自足で、自らの生存に必要なものはすべて自分の労働によって手に入れなければなりませんでした。それが、やがて小集団ができ、生活が変化し、仕事の分業が起こり、それぞれが生産物を交換するというシステムに発展してきました。
最初は使用価値の異なるものとものとで交換で済んでいましたが、集団の交流の輪が広がり、交換物の種類も増えるにしたがって市場が形成され、どうしても物物交換では不都合な面がでてきました。交流物の媒体となるものが必要となってきたのです。
これが貨幣商品であり、その主なものには次のような種類があります。
1、穀物・・・たとえば、日本のような農耕社会では誰もが米を知っており、また必要とするものです。従って、米に価値尺度の基準を求めることは当然だったといえるでしょう。しかし、米は重量があり、耐久性に欠けるので商品貨幣として流通するには、実際的ではなく、一時的に使命を果たしただけでした。
2、貝殻・・・海辺に近い地域では貝は日常的な食べ物であり、その殻に価値を付加したことは、想像に難くありません。軽量で耐久性もあることから、中国や南太平洋地域で用いられました。
3、家畜・・・牧畜社会では、牛、馬、羊、豚、鶏などに商品価値の尺度を求めたと思われます。ただ、実際の流通にあたっては困難が多かったことでしょう。
4、刀剣・・・刀剣は使用価値が大きいので、当然価値の基準になり得ました。これらは、金属貨幣のもととなったと思われ、刀の柄の部分に飾りをつけるため穴をあけていたその名残が、穴あき貨幣として現在にも残っています。
このようにして時代を経るにつれ、私たちの祖先は、貨幣としては次の条件を満たすものが望ましいと考えるようになったのです。
1、価値の尺度となるもの
2、流通手段として実際的であるもの
3、耐久性があり、富として蓄積できるもの
4、価値を抽象的に表現できるもの
5、その素材が流通に足るほど地球上にあるもの
そして、前述の原始的な貨幣に商品に代って考え出されたのが、金属の貨幣商品といえます。金属は上記の条件すべてを満たすからです。この金属貨幣の起源はBC700年ごろのオリエントだといわれています。
金属貨幣のなかでも、その性質上、金、銀、銅は最も優れた条件を備えていました。そして、その美しさや希少性もあいまって、金が最高に価値ある貨幣となったのは当然のことでしょう。
金は、実際にはエジプト時代(BC3600年ころ)、あるいはそれ以前から、また中国ではBC23004年ころから、取引の道具(媒介物)として使用されていました。ただ、一定の形状、重量、品位を持つ鋳貨として初めて作られたのは、リディア(ギリシャの)の国王であり、商人だったクロイソスによってである、とされています。
それは、エレクトロン貨といわれるもので、前述のようにBC7世紀ころのことです。もっとも、この金貨が一般に広く流通したとは考えられていません。
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