こんばんは!
今週で第七回を迎えます、「ギリシャコインの世界」...
今週から、新たな章へと進み「ギリシャコインのタイプ」について書いていきたいと思います。
それではお楽しみください!
ギリシャコインのタイプ①
古代ギリシャコインには、非常に変化い富んだデザインが登場する。一つの造幣所で造られたコインでさえも、驚くほどいろいろな図柄のものがある。しかし、基本的なテーマは、ほとんどが信仰に関係したものである。
古代コインでは、ふつうは表側だけに絵柄がある。裏側にある正方形や長方形などの刻印は、表の図柄を打ち込むとき、図柄がはっきりするように、コイン盤をしっかりと固定させ力をかけるのでこのような痕がつくのである。古代ギリシャが終わりに近づくにつれて、造幣技術が進歩し裏側にも図柄が刻印されるようになった。四角形の痕はまだ残っているが、ちょうど図柄のフレームのようになっている。“両面コイン”の代表的なものが、アテネ(アテネの肖像/ふくろう)のものと、コリント(ペガサス/アテネの肖像)のもので、どちらも前6世紀の終わりに造られた。
ギリシャコインの形成期の逸品は、今日のコインにまで受け継がれている伝統の始まりが見られ、特に興味深いものである。
コインは、造られ始めたときから、全く新しい芸術表現の手段として認められていた。一方、発行する権力者は、自分の国の特徴を宣伝するための場と捉えていた。
ギリシャ神話の神々の多様性と神々の演じる役割の異なった解釈が、それぞれの地方独自の信仰心を生んだ。それ故、貨幣発達の初期段階において、信仰に関するテーマが主流であったということはおどろくべきことではない。コイン職人たちが、オリンピアの神々やその使いたちの威厳や神秘を表現することに、その才能をいかんなく発揮することで各都市の独自性が示された。
ギリシャコインの両面の図柄は、アレキサンダー大王の時代まで、ほとんどが宗教的なものであった。しかし、これに当てはまらないコインもあった。メタポンテオンの麦の穂・アクラガスの蟹・ボィオティア式円盾・エフェソスの蜂そしてキレーネの甲虫などは、すべて象徴を示すタイプで、都市国家の公式の“記章”としては、両手つきのつぼ・三脚ともえ紋・動物の指の関節の骨・車輪などが、アテネの“Wappen munzen(紋章の貨幣)”で見られるが、いずれも紀元前6世紀のアテネの貴族と関わりの深い紋章である。
このタイプも、アテネ祭式のいろいろな面からインスピレーションんを受けているので、宗教的な意味をあらわすと解釈できる。都市の名前を暗示するようなものはほとんどない。
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資料:『Greek Coins and Their Value』
Seaby社刊/David R Sear著/SPINK社発行
コインペンダント専門店 『World Coin Gallery』
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