こんにちは。
いよいよ大型連休がはじまりました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今年は例年と異なり、歴史的な行事が目白押しの連休です。
4月末日には30年に亘った「平成」の時代が幕を下ろし、明けて5月からは「令和」の時代が始まります。
長い歴史の中で見ればほんの一瞬のことですが、今を生きる我々からすればとても感慨深い瞬間です。
年末年始の大晦日~お正月のような高揚感があってもよいはずなのですが、気候の良い時期、10連休ということもあって比較的落ち着いているようにも感じられます。
さて、元号も「令和」に改まった5月1日、古代ギリシャの大英雄 アレクサンドロス大王 (マケドニア王 アレクサンドロス3世)の長編伝記が出版される運びとなりました。
著者は日頃お世話になっているお客様で、普段は京都の大学で東洋史を教えていらっしゃいます。先日、完成した著書を頂戴し、一足早く読ませていただきました。
下巻の表紙を飾るコインは、以前納めさせていただいた「象の毛皮を被るアレクサンドロス大王」のテトラドラクマ銀貨ということで、大変嬉しく思いました。
こちらの著書は構想から四半世紀、資料の収集と研究を重ねて書き上げられたそうで、そのボリュームもさることながら内容も濃密であり、詳細な点まで裏づけがなされていることが分かります。
『彗星のごとく―アレクサンドロス大王遠征記―』上・下巻
著者:竹中愛語
出版社:文芸社
発売日:2019年(令和元年) 5月1日
※表紙をクリックするとAmazonの詳細ページにリンクします。
上巻では父王フィリッポス2世の物語からはじまり、アレクサンドロスの誕生、新興勢力として登場したマケドニア王国の勃興、若きアレクサンドロスが王位に登るまで、周辺諸国との戦い~ペルシア戦役が描かれています。
下巻ではアレクサンドロス大王の東方遠征からインド到達、その間に起こった様々な戦いや事件、そして大王の死とその後が活写されています。
特に本著が読み込ませるのは、大王本人と周囲の人々だけでなく、敵方の行動や心理描写も丁寧に綴られているからでしょう。マケドニア軍と対峙したアケメネス朝ペルシアの内部の事情や権力闘争、それぞれの思惑なども描写され、読み進めるうちに敗者となるはずのペルシア側にも感情移入してしまいました。
通史的な歴史書とは異なりセリフや行動の描写が活用されていることから、臨場感も持って読むことができ、時間を忘れて読み進めてしまいました。様々なエピソードや伝説に彩られたアレクサンドロス大王の伝記、通史を楽しみながら知るには最適の作品です。
物語の中にはマケドニア軍陣中の兵士の様子や、大王が金銭面で悩む様子も描かれており、当時のコインもこうした場面で手にされていたのかと想像しました。また遠征中に登場した古代都市の名も、コインの発行地を巡るような心持ちでした。
あまり細かく書いてしまうと読む楽しみが無くなってしまうので控えますが、読んでいるうちに大王の生涯に引き込まれ、さながら遠征行軍を共にしているような気持ちになりました。大王の生涯は30年余り、間も無く終わろうとする「平成」の期間と重なりますが、彼と周囲に生きた人々にとっては非常に濃密な時間だったことでしょう。
2300年前に生きた一人の青年の生涯が、その後の世界を運命付け、今もなお語り継がれているのは感慨深いことです。大王が到達できなかったアジアの、さらに東の果てでも伝記が綴られていることを知れば、アレクサンドロス本人も大いに喜ぶのでないでしょうか。
新時代を迎える5月1日(水・祝)に発売が始まるアレクサンドロス大王伝、この連休中にオススメの著書です。
平成の時代もブログをご覧戴き、誠にありがとうございました。新しい令和の時代を迎えましても、ブログは更新していきたいと思いますので、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
良い連休を、そして楽しい時代を迎えられますように。
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