メデウサを倒した英雄ペルセウスの孫娘アルクメネと、大神ゼウスの間に生まれたヘラクレスは、ギリシャーの英雄です。
(左の写真はヘラクレス結びといって絶対に解けない仕組みになっています。)
アルクメネは、アフロデイテのように美しく、また貞淑な女性でした。彼女に恋焦がれたゼウスは、その夫の姿に変身して、そうとは知らない彼女と一夜をともにします。そして、生まれた双子の一方が、ヘラクレスです。ヘラクレスは、幼いときより超人的な能力を示しました。ヘラクレスの誕生を喜んだゼウスは、アルゴスの王にしようとしましたが、嫉妬に狂ったゼウスの妻ヘラによってそれもかなわず、奴隷の子として育ちます。
すぐれた知力と体力と勇気を与えられた神の子ながら、不幸な運命によって大変な労苦を自力で乗り越えねばならず、波瀾万丈の一生を送り、死後ついにオリンポスの神々に迎えられるというヘラクレスの大冒険活劇は、様々な土着の伝承も重なり、原典では大変長い物語になっています。
ある時、ヘラクレスは滅亡寸前のある王国を救い、その姫君としあわせな家庭生活を送り始めます。しかし、大神ゼウスの子にそんな平凡な人生は許されるはずはありません。ヘラは、ヘラクレスの意識を朦瀧とさせ、自分の子を殺させます。
悲嘆に暮れて放浪するヘラクレスは、アルゴス王が求める十二の難題を果たせばオリンポスにいき神々の仲間となれるとアポロンに諭され、アルゴス王に会いに行きます。意地悪な性格のアルゴス王は、神の血筋のヘラクレスに嫉妬して、メネアのライオンや頭が百ある水ヘビの退治、魔のシカ狩り、アマゾンの女王を殺しその帯をとる、ヘラの大切な金のりんごを採ってくる、死者の国を守る怪物のような番犬を捕まえる…など無理難題の所業を言いつけます。ヘラクレスは、疲労しながらも、力をふりしぼり、十年近くかかって難題をこなします。
どれ一つとっても、狡知あり、裏切りあり、恐怖あり、愛ありの大冒険です。アルゴス王の難題を果たしたヘラクレスは、ギリシャ中に英雄として知られ、尊敬されることとなります。ヘラクレスの最後は次のとおりです。
オリンポスの神々が怪物たち(タルタロス)と戦った時、ヘラクレスは大変な功績を挙げます。ゼウスは、ヘラクレスを神として迎えようとしましたが、他の神々に反対されてしまいます。仕方なく故郷に帰ったヘラクレスは、戦勝の祭礼のための晴れ着を妻に言いつけます。しかし、それを浮気のための晴れ着と誤解した妻が、「夫の愛を引き止める妙薬」をその晴れ着に塗りつけます。
しかし、その薬は、以前この妻を横どりしようとしたケンタウロスのネアラが、ヘラクレスに射られ、死ぬ寸前くやしまぎれに嘘をついて妻に渡したものだったのです。実は大変な毒薬だと妻が気づいた時には、ヘラクレスは全身が焼けただれ瀕死の状態でした。ヘラクレスは最後の力をふりしぼり、這うようにして薪の山に登り・自らを火葬させました。
その途端、燃え上がる薪の山に稲妻が走り、雲が現われヘラクレスの屍を天高く運んで行きました。勝利の冠を英雄に掲げる役目を持つ女神ニケが、オリンポスまで彼に付き添いました。こうして、ギリシャの英雄はようやく神として迎えられたのです。
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