今回は連載中の「アール・クラシック」をお休みさせていただき、銀のイロハについて書かせていただきます。
銀は日常さまざまな場面で使われていますが、これからも今まで以上に期待が高まっていくことになるでしょう。
貴金属 銀の今を追ってみましょう!
銀のイロハ
2011年4月、貴金属「銀」の国際価格が著しく上がったり下がったりしました。
ニューヨークの銀先物市場では、4月下旬に1トロイオンス(約31.1g)が49ドルの価格を付け、31年ぶりの高値を付けたのです。しかし、取引所の証拠金引き上げをきっかけに、すぐに32ドル台まで値を下げ、現在は35ドル前後で推移しています。
実は過去にも銀は買占めにあい、50ドルを超えたことがありました。また、金と比べてみると、今年度の金の価格変動率が13%であるのに対して銀は70%にもなります。
それでは、なぜ銀は、このように価格の変動率が大きいのでしょうか?
その答えは、実は銀の市場の大きさが関係しています。銀は金や石油に比べ、市場規模がとても小さいです。そのため、銀の需給関係から値の動きが活発になり、投資家たちの投機の対象となりやすくなるのです。投資の対象となることによって、さらに加速度的に価格の変動が起こり、このような不安定な価格を刻み続けるのです。
銀には紀元前から、通貨として流通した歴史があります。ローマ帝国時代には兵士の給料を支払う際にも使われ、20世紀に入るまでは金と並ぶ主要な貨幣でした。国内でも7世紀に初めて銀鉱山が発見され、その後通貨として使われてきました。かの有名な「和同開珎」にも銅製に加え、どうやら銀製があったようです。
銀は金より価格が安く手に入りやすいことから「貧者の金」と呼ばれることがあります。米国では特に投資対象としての人気が高く、近年は銀貨の販売急増で米造幣局の供給が追い付かない場面もありました。
銀の需要は工業用途がもっとも大きく、全体のほぼ半分を占めます。
産業素材としての銀は、熱伝導性に優れ、加工しやすい特徴があります。それゆえ、ペースト状や粉末状にしてスイッチやコンデンサーなどの電子部品によく使われます。たとえば、身近な例でいうと、携帯電話1トン分には銀が2・3キログラム程度も含まれているのです。
最近の銀の需要の伸びが目立つのは太陽電池向けです。太陽電池の電極には、ペースト状の銀が使われており、これからも太陽光発電の市場拡大に伴う需要増がみこまれています。
このほか、プラズマディスプレー向けも伸びており、エアコンなど白物家電では鉛の代わりに使う「鉛フリーはんだ」の需要が広がっています。
かつて大きな需要を占めた写真フィルム向けは、デジタルカメラの普及と共に10年前の4割まで下がってしまっています。
需要の2割弱を担っている宝飾品向けも好調です。銀には、黒く変色してしまうという欠点があるものの、ほかの貴金属に比べると低価格であることが魅力で、合金として使われることが多くなってきています。特に、銀食器として、インドやタイ、中国、イタリヤでは根強く人気があります。
さらに、これからは、銀の医療や環境関連などでの新たな用途が広がってきています。銀の殺菌性の強さを生かし、抗菌作用を施した医療用品や衣服に使う例が増えてきています。
これからの銀に目が離せません!!
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