今回で第三回をむかえます「ギリシャのコインに刻まれた植物」・・・
今回は、「セロリ」と「麦」、「ナツメヤシ」について書いていきたいと思います。
ギリシャのコインに刻まれた植物(3)
セロリ
ギリシャ世界において冠にされる植物はオリーブだけではありません。月桂冠がスポーツや演劇の勝利者に贈られたことは有名ですが、実はセロリも冠にされた歴史があります。
セロリが描かれたコインはシチリア西部のギリシャ植民地セリヌスで銀貨として発行されました。この都市はセリノン(野生のセロリ)が多く生えていたことから、その名が付きました。
コインには繊維がしっかりと見えるセリノンが刻まれており、当時はその独特な香りが好まれ、スポーツ競技の勝利者に贈る冠にされたり、墓に供えられたりしました。
麦
ギリシャの海岸沿いの土地は石灰岩質で平地も狭く、穀物の生産性は低くなっています。イタリア半島南端のメタポンティオンは肥沃な土地を求めたギリシャ人が建設した都市です。
農耕の女神デメテルを守護神とし、コインに麦の穂を示しました。
ナツメヤシ
ナツメヤシは北アフリカ、中近東に生え、実、葉、幹すべてが有用で、砂漠地帯でもよく育つため、生命の樹として古くから神聖視されていました。
フィニキア人が現在のチュニジア北東岸に建てたカルタゴは地中海貿易で栄えた大都市です。コインの表に豊かさ、不死のシンボルであるナツメヤシを刻印しました。
古代ギリシャ世界のコインに登場する植物は、おそらく現代の日本の菊や桜と同じように、当時の人々がすぐにそれとわかるものだったのでしょう。同時に、都市の繁栄をアピールする紋章だったのでしょう。
コインペンダント専門店 『World Coin Gallery』
よろしければクリックお願いします。
コメント