こんにちは。
ご無沙汰しておりました。
いよいよ、今年も残すところあと僅かですね。月日が経つのは本当に早いものです。
当店、「ワールドコインギャラリー」は、今年は12月30日(月)の17時まで営業しております。
年が明けて2014年は、1月4日(土)11時から営業を開始致します。
今年も一年間ご愛顧頂きまして、誠にありがとうございました。
来年も、何卒宜しくお願い申し上げます。
今年の年末年始は、全国的に降雪も多いようです。
寒さにはくれぐれも気を付けて、新しい年を迎えましょう。
ブログ記事も、今回が今年最後の記事となります。
一年間お読み下さり、ありがとうございました。
来年からも、何卒宜しくお願い致します。
さて、今年最後のブログ記事は、「プルーフコイン」に関する内容です。
前回はコインのコンディションとグレーディングに関する内容でした。今回は「プルーフ」という、通常のコインとは少し異なる、特殊なコインに関してご紹介します。
それでは、よろしくお願い致します。
1、プルーフコインとは?
プルーフコインとは、近代・現代コインの鋳造工程で表面・裏面に特殊な加工を施し、鏡のように美しく光らせたコインです。特別な目的・鋳造工程を有することから、流通用の通常コインとは明確に区別されます。
刻印は流通用の通常コインと同じで、その額面価値も同じですが、鋳造工程が異なるためかかるコストが格段に異なります。
主にコイン収集家向けに鋳造・販売されています。
プルーフコインの鋳造工程は、おおまかに以下のようになります。
①打ち型(dies)は、その刻印がはっきりとした特別なものが用意され、さらに入念に磨かれる。平金も同様に磨きをかけられる。
↓
②刻印が鮮明に浮かび出るように、低速鋳造プレスへと入れられる。ゆっくり、そして丁寧にプレスされる。
↓
③より細かいデザインをより際立たせるため、再度プレスされる。
↓
④プレス終了後、コインは注意深く打ち型から取り外され、他のコインと接触しないように一枚一枚丁寧に取り扱われる。
以上のように、プルーフコインの鋳造は流通用に大量鋳造されるコインと異なり、大変な手間がかかるのです。
そのため、鋳造枚数はごく限られたものとなり、流通用コインと比較して何倍もの価格がつくものもあります。
現在、プルーフコインは日本をはじめ、世界各国の造幣局でほぼ毎年鋳造されています。一連の額面のコインを一セットとして、コイン収集家に販売するためですが、その際の販売価格はプレミア価格のため、コイン額面より高い値段がつけられています。
中には高級感あふれる特製の箱入りセットや、コインの解説書が付属されたミントセットも売り出されています。
2、プルーフコインの歴史的経緯
プルーフコインの始まりは1662年、チャールズ2世治世下の英国といわれています。この年、試鋳貨の一種として5枚~10枚のクラウン銀貨が鋳造されたようです。
その後、英国やその植民地、米国の造幣局では、造幣局を訪問した政府高官や外国視察団、または造幣局関係者への記念品としてプルーフコインを鋳造する伝統が受け継がれました。
しかし、当初はあくまで関係者向けの特別な「記念品」としてごく少数鋳造されたものであり、市販用に造られたものではありませんでした。
米国では1858年からプルーフコインの市販が開始されたようです。
その後、米国では幾度かの隔年を経て現在までプルーフコインを毎年鋳造・販売しています。
英国ではそれよりも早くプルーフコインのセットが市販されるようになり、古くからコイン収集家達の目を楽しませてきたのです。
現在では民営化された造幣局の収益拡大や、途上国の外貨獲得の目的から、記念コインと同様に世界各国でプルーフコインが鋳造・販売されています。
3、プルーフコインの種類
「プルーフコイン」と一言に口にしても、実際はいくつかの種類に分類されます。
ここでは主なものをご紹介します。
①鏡面状仕上げ ブリリアントプルーフ:Brilliant Proof
表面・裏面は全面的に鏡状仕上げになっている。特に米国のプルーフコインにみられるタイプ。米国では19世紀以降、このブリリアントプルーフコインを鋳造し続けている。
英国 ソヴェリン金貨(2001年)
鏡面状仕上げになっているプルーフ貨。
②つや消し マットプルーフ:Matt Proof
表面・裏面は全面的につや消しされ、すりガラスのような面を有する。鏡面状仕上げ(ブリリアント)プルーフコインの真逆タイプである。
光沢は無いが、デザインは明確で、非常にはっきりとした細かいデザインまで確認できる。
ほとんどの場合、必要一定数のつや消しプルーフコインが鋳造されると、打ち型はそのまま一般流通用コインの鋳造に流用された。
米国では1909年~1917年のリンカーン1セント銅貨、1913年~1917年のバッファロー5セント白銅貨等、幾つかのプルーフコインに用いられた。
米国 1ドル銀貨(ピースダラー) (1922年)
つや消し加工が施されたプルーフ貨。
③フロステットプルーフ:Frosted Proof
コインの肖像・紋章・銘文等、盛り上がっている部分にはつや消し(マット)を用い、それ以外の平面部分は鏡面状仕上げ(ブリリアント)を施したプルーフコイン。近年、世界的に一般化したプルーフコインのタイプである。
英国 フローリン銀貨(1848年)
フロステットプルーフ タイプの試鋳貨。
以上がおおまかなプルーフコインのタイプとなります。
ちなみに、コインにミントマークのようなマークを打刻し、「プルーフコイン」としている例もあります。そのような刻印を「プルーフマーク」といい、通常の未使用貨と区別する役割を果たしています。
4、プルーフコインのグレード
プルーフコインは通常の流通貨と異なりますが、鋳造直後のコインや未使用貨には、鏡面状仕上げのようにプルーフコインと同じような特徴、「プルーフライク(Proof like)」がみられます。
一見するとその違いは見分けがつきにくいものですが、流通用コインは高速で大量にプレスされるため、微妙な違いがあります。
一方で、鏡面状仕上げのプルーフコイン表面は、通常の未使用貨の表面以上にダメージを受けやすくなっています。
例えば、19世紀に鋳造されたプルーフコインの中には「糸くず跡 (lintmarks)」がついているものが見られます。これは、プルーフ用の打ち型が油っぽいボロ布で拭われた際、布の糸や髪の毛等が付着してできたものと考えられています。
このように、多くの注意を払われて鋳造されるプルーフコインの中にも、出来・不出来があるのです。また、長い年月を経て、所有者が手を加えて状態が変化してしまう場合もあります。
以下はその評価・分類です。
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Proof-70
"Perfect Proof"とも評される。糸くず跡や毛髪状細線(hairlines)、取扱い傷等の欠点が全く無い、完璧なプルーフコインである。
コインは光り輝き、光沢によって自然な色調を帯びている。
Proof-67
Proof-70によりは見劣りするが、Proof-65より際立って上等のものである。
Proof-65
"Choice Proof"とも評される。いくつかの非常に細かい毛髪状細線(通常摩擦による種類の研磨、摩擦による乾燥、浸し洗浄の後の磨きから発生する)のあるプルーフ。
肉眼では確認できないが、4倍の拡大鏡ではいくつかの細かい線が確認できる。
Proof-63
Proof-65とProof-60の中間のグレード。
Proof-60
肉眼でも確認可能な、いくつかの散乱した取扱い傷や毛髪状細線のあるプルーフ。
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以上がプルーフコインのグレーディングです。
尚、過度に磨かれた際に付いた多くの傷や引っ掻き傷、窪み等、広範囲に及ぶ摩耗がみられるプルーフコインは「損傷プルーフ(impaired proof)」と評され、Proof-55やProof-45等が等級付けられます。
こうしたプルーフを「AU (Almost Uncirculated)」と表現するのは適切ではありません。
AU等の評価表現は、一般の流通コインのグレーディングで用いられる表現であり、流通を目的とせずに鋳造されたプルーフコインの評価にはそぐわないからです。
「未使用貨」は、使用・流通を前提として鋳造されたコインに付けられる評価表現である以上、プルーフコインの評価に用いることはできません。
そうした場合の評価表現として、上記のProof-○○や、「Perfect Proof」「損傷プルーフ」といった表現が用いられるのです。
今回は以上となります。
来年も、より多くのコインに関する記事をお届けしたいと思います。
どうか、来年もよろしくお願い致します。
一年間、御付き合い下さりありがとうございました。
それでは、何卒良いお年を御迎え下さい。
来たる年が、より良い年でありますように。
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