すっかりご無沙汰しておりました。
はやくも1月が終わり、2月に入りました。
しかし寒さ、北風はますます厳しくなっていますね。
2月に入り、ここ最近のコイン情勢をごく簡単に書き連ねたいと思います。
ここ数年、世界的に投資目的のコイン需要が高まっているせいもあってか、コインの高値が続いています。資産運用の意味もあって、金に投資する一般の方も多く、地金価格自体が上がっていることも大きな要因ですが、近代の大型金貨はもとより、古代ギリシャ・ローマ、中世イタリアの金貨、銀貨まで上がっています。
2年~3年前の海外コインオークションカタログを読み直すと、今から考えればとても安かったなぁ、と溜息をついてしまうほどです。
例えば古代ローマコインでは、カエサル (CAESAR)の名前が入った有名なデナリウス銀貨 (蛇を踏む巨象/四種の神器)は、数年前までは数枚でいくら、という風に量り売りのような形で出品されていることもありましたが、今では状態の優れたものならば1枚2000ドル近い値段で取引されています。
古代ギリシャ時代、レスボス島などで発行されていた超小型のエレクトラム貨まで、現在ではかつての1.5倍~2倍の価格になってしまいました。
このような状況は、ヨーロッパでのユーロ不信が関わっています。
先日のギリシャでの選挙結果や、欧州中央銀行の量的緩和観測などで、通貨ユーロへの信用は大きく揺らぎました。先月のスイスフラン暴騰も、周辺の国々が使うユーロに対して、人々が信頼を置いていないことの表れでしょう。
その為、ヨーロッパでは「現金=ユーロ」を「モノ」に代えておきたいという需要の高まりから、付加価値・資産性の高い骨董品や、宝飾品が注目されているのです。
その流れの中で、比較的小さくて保管しやすく、それでいて芸術性や歴史も楽しめる「コイン」が多く買われているようです。
日々海外のオークションをチェックして感じることは、古代、中世、近現代、金貨、銀貨、銅貨も関係なく、全ての種類のコインが、数年前と比べて上がっているということです。
オークション運営会社も、需要の高まりを見越して強気になっているのか、スタート値を高く設定したり、手数料の割合を引き上げたりしているのも見受けられます。これには昨今の円安も加わって、仕入には大きなダメージになります。
ただ、価格面以上に危機感を抱いているのは、「高くなった」という以上に「モノがなくなった」ということです。
今年1月にニューヨークで開かれたコインオークション・コインショーには、例年通り多くの業者もやってきましたが、各ブースには大型金貨が品薄の状態で、買えるものは殆ど無かったといわれています。
また、ロンドンやパリのコイン業者でも、古代コインで状態の良い物はどんどん無くなっているようですし、オークションサイトを見ても、状態の悪いものが増えているように感じます。
そもそも数に限りがあるものですから、買う人が増えれば増えるほど値段も上がっていくのが自然です。
しかし近年はただコインが好き、古いものや歴史に興味があるという人に限らず、資産運用の目的でコインを集める人が増えたことにより、従来とは異なった流れが生み出されているようです。
この流れがいつまで続くのかは分かりませんが、今年も高値・品薄の状態は続くのではないかと考えられます。昔からのコイン収集家にとって、厳しい情勢はしばらく続くでしょう。
最近のコメント