こんにちは。歳の瀬の寒さ厳しくなる今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今年もあと一週間ですね。今年は世界情勢から身近な日常まで、全てが大きく変化した一年でした。
本日はクリスマスイブですが、昨今の自粛モードで街中も少しは落ち着いている印象を受けます。
当店ワールドコインギャラリーも4月の緊急事態宣言下では営業を自粛しておりましたが、その間もたくさんのお客様からお問い合わせをいただき、本当に有難い限りでした。改めまして、厚く御礼を申し上げます。
来る新しい年は、多少なりとも明るい一年になることを心から願っております。健康で幸多き年になりますように。
さて、本日はクリスマスイブということで、クリスマスに関連したコインをご紹介します。
言うまでもなく12月25日はイエス・キリストが聖母マリアから産まれた日とされ、世界中で「Christmas (クリスマス)」として盛大に祝われています。
実際にイエスが12月25日に生まれたとする正確な記録は残っていませんが、年末の季節の風物詩として定着し、キリスト教圏では特に重要な一日とされています。
キリスト教圏、特にカトリックではイエスを出産した聖母マリアに対する信仰も熱心であり、教会にはキリスト像とともにマリア像が祀られる例が多くみられます。
かつてイタリア半島の中部を包括したローマ・カトリック(ヴァチカン)の領土、通称「ローマ教皇領」では、聖母マリアが表現されたコインが多く発行されていました。ローマ教皇領発行のコインにおいてはイエス・キリストよりも、聖母マリアや聖ペテロが表現される例が多かったようです。一般大衆の間で広く見られた聖母マリア信仰、聖人信奉が反映されているとみられます。
【1708年 グロッソ銀貨 聖パウロ】
【1796年 2.5バイオッチ銅貨 聖ペテロ】
【1815年 1スクド銀貨 雲上の聖母マリア】
【1831年 1スクド銀貨 幼子イエスと聖人たち】
【1753年 グロッソ銀貨 月上の聖母マリア】
紋章は当時の教皇ベネディクト14世を示しており、銀品位91.7%、1.35gの小さな銀貨です。
このマリア像は「無原罪の御宿り」と称される教義を表現し、マリアは現世に誕生したときから一切の原罪を免れていたことを示しています。カトリックの教義では、マリアは生まれた時から神の特別な恵みに与かっており、世俗の人間としての穢れが無い者とされ、そしてイエスを受胎したことにより完全に救われた存在になったとみられています。
このマリア像は古くから祭壇画などに表現され、名高い芸術家たちによる筆で鮮やかに、神々しく彩られた人気のあるスタイルです。
ベラスケス 1618年
スルバラン 1630年
ティエポロ 1767年-1768年
コイン上のマリア像もこれらの絵画と同じく手を合わせて立つ姿で表現され、頭の周りには多数の星が配されています。足を三日月(下弦の月,新月の前)の上に乗せる様子は、マリア(=キリスト教,新約聖書の時代)が前時代(=旧約聖書の時代)を基礎にしながら、それを上回る存在であることを象徴しています。また、マリアの頭上の星は「黄道十二宮」を、下弦の月は「変化しやすい現世」を象徴し、マリア(=キリスト教)がそれらを超越した絶対的な真理であることを示しているとする解釈もあります。
このグロッソ銀貨が発行されてから200年後、ヴァチカン市国では復刻版のコインが発行されました。
【ヴァチカン市国 1941年 1リレ】
紋章はピウス12世の教皇紋章、材質はニッケルに変更されていますが、基本的な形式はそのまま引き継がれています。
今年は一年間、本当にお疲れさまでした。そして忙しい中このブログをご覧いただき、本当にありがとうございました。
来年も少しづつ更新していきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
皆様にとって良いクリスマス~歳の瀬、そして素晴らしい新年になることを心より願っております。
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