こんにちは。
11月になるとすっかり秋めいてきました。気温が下がり始めると冬の準備ですね。街中も徐々にですが、クリスマスに向けた準備を進めているように感じられます。
昨今は物価高が大きな話題になっております。今年の2月から始まったロシアのウクライナ侵攻に伴い、エネルギーと食糧の価格が高騰し始めましたが、ここ最近は急激な円安が拍車をかけています。海外から多くのものを輸入する日本にとって、為替の動きは生活に大きな影響を与えます。
特に古代ギリシャ・ローマ時代のコインは海外から輸入するため、円安の影響がはっきりと出てしまいます。
ワールドコインギャラリーが商業施設2k540(上野・御徒町)に新規OPENした10年前の10月には1ドル=77円でした。今年の10月21日は151円26銭になっており、およそ二倍の差があります。
ちょうど一年前の11月時点で115円前後だったことを考えると、この一年で30%近くの差が生じてしまいました。しかし11月13日現在は一気に円高が進行して138円82銭となり、短期間での乱高下が続いています。こうなると同じ金額のドル建て入札も再計算が必要になります。
さらに海外でもインフレの進行によって物価高・人件費の上昇がつづいており、オークション手数料も年々上昇しています。10年前は落札金額に対しておおよそ12%~15%の手数料がかかっていましたが、現在は20%~25%にまで引き上げられています。
それでも入札者が減らないのは、欧米でのインフレが常態化していることの証左でしょう。稀少性が高いコインはインフレ対策にもなることから、現物資産としての需要も高まっていることが背景にありそうです。新たに出土する古代コインの数はごく限られており、また市場に放出する際の基準も厳格化されていることから、供給量の増大も望めません。
近年は金貨だけでなく、ユリウス=クラウディウス朝時代(アウグストゥス~ネロ)のデナリウスをはじめ、銀貨もスタート価格(評価額)・落札相場が上がっています。古代コインは発行数や現存数が正確に把握できないため、場合によって相場の見直しが発生する可能性があります。オークションで数多く出品されていても、次の年にはほとんど見かけないといった例も多くあります。
また日本国内の事情では、この10年で消費税が5%→8%→10%と引き上げられたことに伴い、輸入関税も上がっています。こうした影響は海外から輸入するコインには大きく響いてきます。
オークションで落札したコインはドル建てで決済されますが、それを円に換算した金額の10%を関税として支払わなければなりません。為替と税金のダブルパンチです。
例えばニューヨーク市場の金相場が下落傾向にあっても、ドル高円安のために日本国内での価格にはあまり変化がなく、割安感がありません。
(11月7日売値:金 1g=8,740円)
輸入された金貨の場合は地金相場に対してさらに10%の関税が付加されるため、販売価格も以前より上がってしまいます。特にコロナ禍以降は金が高騰しているため、まだ割安感がある銀貨への注目が高まっているようです。
(11月7日売値:銀 1g=108.90円)
世情の急激な変化に対応しながらビジネスを行っていくのは難しいですね。以前に入荷したコインの価格は現状から考えると割安感さえあります。もし今同じコインを入荷するとなると、販売価格が大きく上昇してしまうものも多々ありそうです。そういう意味では、現在ある古い在庫はお買い得なのかもしれません。
それでも状態の美しいもの、珍しい一点をご紹介できるように努めていきたいと思います。定期的にホームページの新入荷も更新していきますので、ぜひ御覧いただけますと幸いです。
《古代ギリシャ・ローマコイン&コインジュエリー専門店》
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