コインについても、最も美しい作品が造られた時代でした。 初期の堅苦しい描写に変ってリアルで優雅な神々の肖像が描かれるようになり、爪疵のようなものしか描かれなかった裏面にも、オリジナルティーあふれるデザインが施されました。
使われた金属は主に銀、単位は小さくなり、使いやすくなりました。強大な力をつけたアテネは、コインの生産を統制する法律を発布しました。しかしこの時代には都市国家間の構想が相次いで起こりました。そして、ペロポネソス戦争でスパルタに敗れたアテネは衰退し始めます。こういった抗争の影響が比較的少なかったのは、西方のシシリーなどの造幣所です。西方を支配したシラクサのもとにあったシシリーでは、コイン芸術の絶頂期を迎えます。前5世紀末のシラクサでは、他に類の無い芸術性や華やかさを持つコインが作られました。
ギリシャ世界には、新たな二つの勢力が台頭しつつありました。北方のマケドニア王国は、若きフィリップ二世に導かれ、その息子アレキサンダー大王によって、30年もしない内に古代社会の政治を一変させてしまいます。西方には、やがて地中海世界を飲み込む、ローマ帝国が現れていました。
次回に続く・・・
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