先ず、このコインの図柄、ギリシャ神話の神々を描いたものとは少し趣が違っています。人の顔が互い違いに上下さかさまに描かれています。数ある古代ギリシャのコインの中でも最も変わったデザインだといえます。二つの顔のデザインは何を意味するのか、物事の『始まり』と『終わり』? ローマで信じられた二重人格を示すとされる双顔の神ヤヌス?この地方を流れる貿易の重要なルートでアドリア海と黒海の両方に分かれて注ぐ『ドナウ川』を示すなどなど…色々な意見があります。
ときどき、両方の頭が同じ方向になっているコインもあったりして、さらなる謎を呼びます。
裏面は、イルカを捕まえた尾白鷲です。まるで大神ゼウスがポセイドンを捕まえたかのようですが、これも他ではあまり見られない組み合わせです。
このコインの図柄は、当初から考古学者たちの注目を集めました。これは古代ルーマニアの産なのですが、ここのコインはヴァリエーションに富んでいます。というのも、ギリシャ人の他ケルト人やドナウ下流にいた土着のゲタエ人等が関与しているからです。
このコインはこの地方では最も初期のもので、黒海沿岸イストロスでギリシャ人の入植者たちが造ったものです古代ギリシャの植民地は現代のそれとはだいぶ意味が違います。母国はある種族を植民地民として強く支配するのではなく、移植した移民が自分たちの政府を持ち、母国とは独立した政策を実行しました。ギリシャからの多くの移民は各地にコイン鋳造の技術を伝えその土地の信仰を踏まえたコインを多く産出しました。この二つの顔もギリシャ以外の文明から影響を受けたのかもしれません。
カッコいい!興味をそそりますね(^m^)
投稿情報: フルラ 財布 | 2013/03/14 01:19