クロノスが父ウラノスを殺し、その局部を切り取り海に投げ捨てる…という大変残酷な場面から、この愛と美の女神が誕生します。血潮漂う海の泡から何も纏わずに生まれた彼女は、真珠のような美しさに輝き、帆立貝、あるいはポセイドンの白馬に運ばれてある島に運ばれたといいます。季節の女神たちが、美しい衣を纏わせると、その美しさは一層際立ち、彼女が歩いたあとには華花が咲き乱れ、いつも鳩と雀がその傍らに舞いました。
オリンポスに迎えられたアフロディテを一目見て、ヘラは、すぐに結婚させなければと思い、神々の中から夫を選ばせます。美青年のアポロンや、海を司るポセイドンなど勇壮な男の神々が、それぞれに素晴らしい贈り物を約束します。しかし、足の悪い醜い鍛冶の神ヘパイストスだけは、沈黙して隅に立ち尽くしていました。到底自信がなかったからです。アフロディテが彼に目を移すとヘラに促されて一言、「真面目に働き、良き夫となる」と告げました。アフロディテは微笑み、彼に手をさしのべ、接吻したといいます。
アフロディテは愛の女神ですが、「許されぬ恋」「かなわぬ恋」の場面に数多く登場します。もちろん彼女自身恋多き美女でした。軍神アレスなどと情熱的な恋をし、夫を苦しめます。
ある時アフロディテは、キプロス王の娘ミュラー姫の美しさを妬み、彼女の胸に父親への恋情を吹き込みました。ミュラーは変装し、それと知らぬ父王のもとに夜毎に通い、許されぬ恋を成就しますが、罪を償うためアラビアへ逃れ、そこで命を絶ち香木に姿を変えました。その樹から絶世の美青年アドニスが生まれたといいます。皮肉にも、エロスが女神の胸に矢を打ち込み、今度はアフロディテはアドニスに夢中になります。アドニスは狩りが大好きで、アフロディテはいつもいっしょに出かけました。しかし、あるとき一人で野に出たアドニスは猪に襲われて死んでしまいます。女神はその体を抱き、悲しみに暮れ、泣き明かしました。アフロディテの涙からは聖なる花-薔薇が、アドニスが流した赤い血からは真っ赤な花が咲き、それはアネモネと呼ばれ、今もギリシャの丘を彩ります。
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