今週で第5回目となります『古代コインのわき役たち』・・・
今回は『ファスケス』について書いていきたいと思います。
古代コインのわき役たち(5)
ファスケスとは、斧の周りに木の束を結びつけたもので、古代ローマにおいて高位公職者の周囲に付き従ったリクトルが捧げ持った権威の標章として使用されたものです。
日本語では儀鉞(ぎえつ)や権標、木の棒を束ねていることから束かんなどと訳されます。20世紀にファシズムの語源ともなりました。
ファスケスは斧の周囲に十数本から数十本の棒を配し、皮の紐で束ねたものです。
王政後期にエトルリアからもたらされたものとされ、王の権威の象徴でした。共和政に移ると王の権限に由来するインペリウムの象徴とされ、インペリウムを保持する高位公職者である独裁官、執政官、法務官などの周囲にファスケスを持つリクトルは配されました。
ファスケスの意味するところは、権力と求心力の象徴としての斧、その周囲に団結する人々であるといわれています。
刑罰のための斧と鞭が「懲罰権」を象徴するとの説もあるが、実際に戦闘や処刑に使うことを目的とするものではなく、専ら権威をあらわすために用いられました。
共和政期に入ってからは原則として、ローマの市内 (市内と外部を隔てるポメリウムの内側) では斧は取り外され、棒の束として使用されました。またコンスルの葬儀の際にはファスケスは逆さまで捧げ持たれたそうです。
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